先日ソーシャルインパクトボンドのシンポジウムに行ってきまして。
そもそも「ソーシャルインパクトボンドってなに?」から
「これからどうなるの?自団体にとって/社会にとって役立つの?」てところを
シンポジウムに行ってみて感じたところも含めてこの場でお伝えできたらと。
(※なおソーシャルインパクトボンドに関する具体的な内容は、ソーシャルインパクトボンドジャパンのWebサイトから引用しています。)
ソーシャルインパクトボンドとは?
登場した背景
イギリスのホームレス支援から始まった取り組み。
ホームレス一人を社会復帰させるのに行政だけがコストをかけて取り組むのに限界があった。
そこで、
「民間(企業や個人)からもお金を集めよう」
「そのお金でサービス提供者に代わりに事業をやってもらおう」
「目標決めて、達成したらリターンを投資家に払おう」
という「ソーシャルインパクトボンド」という取り組みが始まりました。
現在は欧米を中心に20ほど実績がある取り組みです。
ソーシャルインパクトボンドの全体像
流れとしては、
- 行政と民間のサービス提供者との間に中間支援組織が立つ。
- 中間支援組織は民間の資金提供者(投資家や企業など)から資金を募る。
- 行政は、中間支援組織及び民間のサービス提供者と業務委託契約を結ぶ。
- 民間のサービス提供者は対象者に対して行政サービスを行政の代わりに実施する。
- 定めた目標値の達成度合いに対して、行政が資金提供者に投資に対しての報酬を支払う。
になります。
ソーシャルインパクトボンドのメリット
①サービス提供者が事業に集中して取り組める
通常、行政がNPOや社会的企業など民間の事業者と契約する成果連動型支払契約では、事業者が提供するサービスの成果に応じて、行政が支払いを行います。
一般的にサービスの成果は、サービスを提供してすぐに出るものではありません。
そのため行政がサービスの成果を測定し、報酬を支払うまでに数年かかってしまいます。
しかし主なサービス提供者である社会的企業やNPO等は、十分な資金的余裕がないことも多いのが現状。
なので支払いが数年後になるような成果連動型支払契約への対応は難しくなります。
そこでサービス提供者のサービス提供で発生する費用(事業費)については、民間資金提供者から資金調達でまかないます。
これによって、サービス提供者は「本来の自社がやる事業(社会問題の解決)」に集中できるのです。
②行政がコストダウンを図れる
行政が支払えるコストには限界があります。
そこを資金提供者から投資を募り、それでサービスを運営してもらいます。
これをやることで、行政はそもそもの事業コストを下げることができるがメリットです。
もちろん投資を募る時点で「この目標を達成したらリターンを支払う」という契約をちゃんと投資家との間で締結します。
その後、行政と事前に合意した成果目標を達成できれば、後から行政が資金提供者へ成果に応じて報酬を支払います。
逆もまたしかりで、事前に設定された目標が達成されなかった場合は行政からの資金提供者への支払いは発生しません。
一番メリットが少ない、むしろリスクになる可能性が高いのが投資家サイドな気がしますよね。
私も聞いた時まず思いました。
時間が解決してくれるのかな。。
ソーシャルインパクトボンドの日本での導入状況
日本でのソーシャルインパクトボンドの導入事例
じゃあ肝心の日本ではどうかと言うと。
現在は神戸市と八王子市の2つでソーシャルインパクトボンドを活用した事業が進められています。
神戸市:糖尿病性腎症等重症化予防事業
八王子市:大腸がん検診受診率向上事業
どちらも医療分野。
まあ医療分野は、重要性が高くて、課題も成果目標も見えやすい/算出しやすいですからね。
今後どうなるか
行政にとって
行政が負担するコスト削減につながる、という面でメリットがあります。
が、事例自体が少ないというのもあって、説明がまだまだ大変だろうなーと。
議会とか市民とかに向けてのです。
シンポジウムには行政の方もいらっしゃいましたが、一番この点大変だったんだというのが表情に出ていました。
担当者が年度変わって交代したりするとまためんどくさそうですね。
NPO・社会的企業にとって
サービス提供者として選ばれるくらいの実績とか技術、サービスのパワーがある人は頑張ってください、て感じです。
取り組む社会問題にもよりますが、サービス提供者に多様性が出てくればいいなぁと思いました。
規模が小さくてもしっかり活動して成果を出している団体もたくさんいますから。
中間支援組織にとって
一番大変なのこの人たちだと思います。
投資家や行政やサービス提供者の調整とかがとにかく大変そうです。
しかもしっかり取り組める企業や団体の数がそこまで多くないので、役割を果たせられる企業や団体をどこまで増やせるのか、育成するとしたらどうやるのか。
具体的な投資家についてのコメントはなかったのですが、社会投資だと思っている人やそうでなくコスト重視の投資家もまぜまぜな状態に見受けられ。
理解を得ていくにはやっぱり積み重ねでしかないのかもしれません。
ただ仕組みとしては、とっても有意義なシステムだと思うので、事例が増えていくのを願うばかりです。
この辺にもなんかの形でお手伝いに加われたらいいなー。
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