NPO・ソーシャルビジネス専門バックオフィサー、「ひとりNPO支援センター」の片山です。
ちょいちょい耳にするようになってる
「DX=デジタルトランスフォーメーション」という言葉。
よく聞くけどよく分からん、と思ってる人も多いはず。
大丈夫です、私もですw
これは「DX=デジタルトランスフォーメーション」とはつまり何なのか、に触れつつ、
「NPOやソーシャルビジネスにDXがもたらせる効果や、導入にあたって何が必要なのか」をメインに書いた、かなりお久しぶりの投稿です。
「活動における業務の手間やコストを削減したい、効率化したい」
「受益者やステークホルダーへの価値提供や向き合い方が時代に合わなくなってきたのでは」
「新型コロナウイルスの影響から、これまでの活動や事業のやり方を変えなければならなくなった」
と思っている方にお役に立てるように書きました。
「横文字ばっか使いやがって。( ゚д゚)、ペッ」
なんて思わずにご一読くださると嬉しいです。
DX=デジタルトランスフォーメーションとは
定義から確認してみましょうか。
経済産業省の定義では、以下の通りとなってます。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf
はい、全然ピンときませんね。
私も当初は、
- 生産性アップ(社内内部向け)
- ニーズにマッチしたサービス提供(消費者向け)
しようぜ!
だけの話かなと思ってました。
正直、それだと今までの「IT活用しましょう」と何が違うの?とやや懐疑的でした。
ですのでもうちょっと細かくみてみると、
組織のあらゆるプロセス(意思決定フローや業務フロー)を時代や市場ニーズに合わせて変化できるようにしようぜ!IT技術を使って!
ということみたいです。
これまでのIT活用促進との違いは?
今までの
「IT活用しよう!」「ツール導入して効率化しよう!(補助金出すから)」が、
OS(経営の意思決定やコアの業務フロー)はいったんそのままで、アプリケーションをとにかく良くしましょう
だったのが、今回のDXブームは
アプリケーションだけじゃなくOSも含めて「時代やニーズの激しい変化」に応えられるようアップデートし続けられるようにしましょう
ということかと。
DX導入のハードルはかなり高い(主に意識面で)
でもここまで調べて思いました。
「ホンマに言うてんのか」と。
そしてそれは、既出の経産省のレポートでもしっかり言及されてました。
こうした現状において、具体的な課題として、例えば、以下のような点が指摘されている。
1)「顧客視点でどのような価値を創出するか、ビジョンが明確でない」
2)「号令だけでは、経営トップがコミットメントを示したことにならない 」
3) 「DX による価値創出に向けて、その基盤となる IT システムがどうあるべきか、 認識が十分とは言えない 」
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf
決して皮肉るわけではないですが、
「(トップダウンで)ITかなんか知らんけど業務効率化やっといてー」
「ホントにこんなん導入して効果あんの?エビデンスは?あとやっぱ高くない?」
となんかそっけない上層部。
「業務改善のためにこの業務フローの洗い出ししろとか言われても、こんなクソ忙しい時に。。」
「今までの使い慣れてる・やり慣れてる方法でやりたーい」
とあんまり上層部の熱意が伝わってない現場。
この溝というか、意識のギャップがハードルとなっているケースが多そうです。
想像に難くないですね。
DXを駆り立てるもう一つの大きな波、「2025年の崖」
「時代やニーズの変化に対応できるよう、ビジョンから業務プロセス末端までデジタル使って改善しましょー」
的なちょっとしたメッセージで片付けられそうな感じもしないではないんです。
が、ただそれだけでここまでトレンドになってくるはずもなく。
ここで出てくるのが「2025年の崖」です。
何なんですかそれはと。
経産省のレポはちょっと読む気が起きなかったので、←
こちらから引用しました。
「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」という報告書をまとめました。そして、その内容に対して衝撃を受けた関係者が多くいたといいます。
何に衝撃を受けたのか。それは、各企業が抱える既存システムに関して、
①老朽化した既存の基幹システムがDXを推進する上での障壁になる、
②2025年までにシステムの刷新をしないと、それ以降、年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性がある
――と具体的な数値を出しながら、警鐘を鳴らしたからです。
冒頭に紹介したマイクロソフトなどの調査では、DXの導入により、日本のGDPは2021年までに約11兆円増えるとしました。
老朽化もそうですが、
ガラパゴス化(他のツールとの連携ができないor高コスト)や肥大化(追加、部分改修の連続の結果アクシデントがあっても社内でも追跡できない)もあると思います。
「リンパの巡りが悪く浮腫んじゃった脚で激しい運動するとケガしますよ」な感じですね。
現状維持だと大損失。DXすりゃむしろ増える。
そりゃ企業は躍起にならざるをえないわけですね。
会計、採用、営業、プロモーション。あらゆる分野で
「業務プロセスを簡素にし、見える化し、効率化しよう。月々このお値段!」
の売り文句でサブスクを売っている事業者が爆増し急成長してるのもうなづけます。
で結局、DXてソーシャルセクターに関係あるの?
ようやっと本題に辿り着きました。すみません。
じゃあDXの波は、NPOやソーシャルビジネスといったセクターにも押し寄せるのか、と言われると。
多分そうでもない。
が今のところ私の答えです。
「今までの話は何だったの」とか言わないでください。笑
というのも。
一般的な営利企業と、いわゆるNPOやソーシャルビジネスといったソーシャルセクターは組織が存続する「目的」がそもそも違います。
目指すビジョンはあれど、投資してくれてる株主のために利益追求する。そのために効率化を図っていくのが企業です。
目指すビジョンや社会のあり方に向かって、ステークホルダー(受益者や支援者、その他もろもろ)を巻き込み、今までは誰も手をつけられなかったところに新しい仕組みを生み出すのがソーシャルセクターです。
(もちろん↑をやり続けるために必要なコストを賄うための収益をあげるのは必須です。)
企業のDX推進の意図が利益追求だとしたら、
利益追求がそもそもハマらないソーシャルセクターには関係ないのかもしれません。
ですが、これはあくまで組織側の視点です。
顧客や受益者といったステークホルダー側の視点から見ると様子が変わってきます。
ステークホルダー側の視点から考えると。
企業は時代やニーズの激しい変化にいち早く追いつくためにDXが求められます。
同じ時間軸で動いている以上、この時代やニーズの激しい変化にさらされるのはソーシャルセクターも同様です。
なぜなら社会課題はこの時代の激しい変化と密接に関わるから。
助けたい人の課題解決の根本に活動や事業が至っていない、微妙にズレていることに気づかず、従来と同じ方法で事業を継続してしまったらどうなるでしょうか。
きっと受益者の状況はよくなりませんし、その状況を見せられている周りのステークホルダーも離れていくでしょう。
そうすると目指すビジョンや社会が実現できないままです。
時代の変化に気づいて対応しようとしても、業務プロセスが従来のままだったら対応するための時間コストが大幅にロスします。
特に解決を急ぐタイプの活動の場合、これだとかなり致命的です。
新型コロナウイルスの感染拡大もこれに拍車をかけてます。
「今まででいい」と思っている人はきっと少数だと思います。
ですが、それでも社会や助けたい人の環境に起こっている変化をしっかり捉え、事業や団体自体を根本から変えることも考えてみることは、団体として目指すビジョンやゴールにもきっと貢献すると思います。
ですので「ウチには関係ない」と思わず、一度現在の計画や業務を見直してみることをオススメします。
まとめ
今回は、
・DXとは何か?
・なぜDXが注目されるのか?
・NPOにとってDXは関係あるのか?
をお伝えしました。
今のところDXについてどうこう、という意見は特にセクターとしては聞こえてきません。
ですが、これからの社会の変化や
何より助けたい受益者や協力してくれるステークホルダーの変化を感じ取り、
団体の構造や活動のしかたを抜本的に変える取り組みを恐れず行っていくことは考えておいた方がいいかも。
というのが私の見解です。
そうでなくても、ビジョン実現や助けたい人への価値提供にあたって非効率な業務やビジョン実現に今の活動が貢献しているか違和感があるのであれば、DXうんぬん以前に戦略や業務を見直した方がいいです。
そのあたりの整理もお手伝いできますので、もしよかったらお声がけください。
お読みくださりありがとうございました!