NPO法人設立に必要な書類・作成方法総まとめ

こんにちは。

「まだ任意団体で活動しているけど、ちゃんと法人格を持って活動を持続してやっていける団体にしたい」

「起業する法人格の候補の一つ」などなど

と考えてるなか「NPO法人ってどうやって作るんだろう?」て考えている人のために書きました。

こんな書類が必要で、こういう考え方で書けばスムーズだよ、というのをお伝えします。

ご参考になれば幸いです。

なぜNPO法人格が必要なのか

任意団体の限界(信用面)

個人や任意団体のままでは、できないこと。

それは他者(寄付をしたいという人や、一緒に活動をしようと考えている行政や企業)の協力を得ることです。

個人や任意団体で活動をずっと続けていくことはもちろんできます。

ですが活動をやっていく中で、行政(都道府県庁や市役所、役場など)や企業などと協力して事業を行う機会が発生します。

その場合、何かしら法人格を持っていないと協力するにあたっても行政や企業が及び腰になってしまう可能性があります。

これは活動自体にとって、とてももったいないことですよね。

別に活動をやっているメンバー自体を疑ってかかっている訳ではありません。

ですが行政や企業、どちらも「事業」としてやっているので、真剣さが求められます。

先方にとって、その「真剣さ」を測るわかりやすい度合いが

「法人格を持って活動しているか/いないか」なのです。

任意団体の限界(資金調達面)

法人格がないと、お金を獲得するせっかくのチャンスを失ってしまいます。

活動をしていく中で、お金はどうしても出ていくと思います。

例えば自分たちの活動を知ってもらうためのチラシや名刺を作るにしても。

イベントを開催するときなど家から目的地まで行く交通費にしても。

(持ち出しでできる範囲で問題ないならいいのですが。)

また「寄付したい」と言われた場合どうでしょう。

個人や任意団体の口座ではせっかく寄付したいと言ってくれた人が不安ですよね。

「活動以外のことで使われちゃうんじゃないか」と痛くもない腹を探られてしまいます。

とてももったいないことです。

また、よりボランティアを積極的に行っている団体に向けて助成金を提供している企業や団体が実はたくさんあります。

そして彼らがまず見ているのは「ちゃんと法人格を持って活動しているかどうか」なのです。

せっかく積極的に活動を行っていて、もしかしたらちゃんと持ち出しでまかなっていたお金が返ってくる可能性もあるのに、すごくもったいないことだと思いませんか?

NPO法人を設立するまでの流れ

NPO法人を作るまでには、行政に対して行う「認証」と法務局に対して行う「登記」という二つの手続きが必要です。

認証(行政への書類作成、提出)

法人の住所を持とうと思っている場所の行政機関(例:東京都内なら東京都庁)に必要な書類を作成して、提出します。

(※必要な書類は読み進めると一覧がありますので、そちらをご覧ください。)

提出すると、行政からの審査と縦覧期間を経て、認証OK or NGのお返事がきます。

縦覧、と言いましたが「縦覧」とは「一般市民に公開して閲覧可能にする」ことです。

HPに載せるとか、実際の役所に行って見られるようにする等の方法をだいたいの行政はとっています。

認証にかかる期間としては、だいたい3〜4ヶ月です。(東京都の場合は期間が短縮され、2〜3ヶ月で連絡が来るハズです。)

登記(法務局への書類作成、提出)

認証のOKが書面で届いたら、法人の住所を置こうと思っている住所の管轄の法務局へ登記をしに行きます。

こちらは5〜10日で手続きは完了します。

(※こちらも必要な書類は読み進めると一覧がありますので、そちらをご覧ください。)

認証に必要な書類一覧、作成方法

書類一覧

  • 設立認証申請書
  • 定款
  • 役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の名簿
  • 各役員の就任承諾書及び宣誓書の写し(理事用)
  • 各役員の就任承諾書及び宣誓書の写し(監事用)
  • (理事や監事の人数分)住民票
  • 社員のうち10人以上の者の名簿
  • (反社会的勢力ではないことを示すための)確認書
  • 設立趣旨書
  • 設立についての意思の決定を証する議事録の写し(=設立時総会の議事録)
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

だいたいお住いの都道府県の役所にフォーマットがありますので、そちらから様式をもらったりダウンロードすることができます。

書くにあたって大事なことは下に書いていますので、引き続きご覧ください。

役員を最低4人集めよう

NPOの基本的な役員構成は理事と監事で成り立っていて、これら役員が最低4人(理事3人以上、監事1人以上)必要です。

役員のお仕事はこんな感じです。

  • 理事のお仕事→NPO法人の運営や活動に関すること全般。
  • 監事のお仕事→理事の活動や、財務の動きが健全かを第三者の目でチェックすること。

理事は活動の中心になってくれそうな人を、監事はお金の扱いに長けている人や知り合いの税理士や会計士さんにお願いしてみましょう。

社員を最低10人集めよう

NPOは、特定非営利活動促進法(通称NPO法)により、社員(法人の運営に参加する人のこと)が10人以上と定められています。

「社員になってくれた人にお給料を払わないといけない…!」なんてことにはならないので安心してください。

(※ちなみに役員も「必ずお給料や報酬を払わないといけない」なんてことにはなりません。)

役員が社員も兼ねると、あと6人必要ですね。

活動に参加してくれていた人や、お友達などに協力してもらいましょう。

設立趣旨書を書こう

設立趣旨書とは、「こんな問題を解決するためにNPO法人◯◯を設立します。」と記載する宣言書みたいなものです。

書類の様式はまっさらなので、いきなり面食らうかもしれません。なので3つの質問をします。

以下3つの質問に対して答えることで趣旨書の大枠を埋めることができます。

どんな課題に取り組む団体?

NPOは社会問題を解決するための組織なので、どんなことを問題だと思っているのかをまず考えてみましょう。

困っているのはどんな人?

これはNPOに限らず、すべての事業を行っている人に当てはまる質問ですが、特にNPOにおいては「その問題で困っている人はどんな人か」をイメージしてみましょう。

どんなサービスを提供する?

最後に、その困っている人に対してどんな解決策を提供するのかを書きましょう。

この解決策が、NPO法人のいわゆる「事業内容」になります。

定款を作ろう

定款とは、簡単に言うと「法人組織のいろんな決め事をまとめた書類」です。株式会社にもあります。

NPOも法人にする場合、この定款と言う書類が必要です。

認証に必要な書類をダウンロードする場合、定款フォーマットには「記入例」がもれなく付いてます。(少なくとも東京都はそうなっています。)

その記入例と上の3つの質問を照らし合わせながら作成してみましょう。

財務諸表(事業計画書、活動予算書)を作ろう

あまり書類仕事、特に会計系の業務に慣れていない人は一番書きたくない書類です。

しかもこの財務諸表については設立初年度とその翌年度、すなわち「2年分」作らないといけません。。

書くにあたってはこの2つの質問を意識してください。

出ていくお金はいくら?

「いくら儲けるつもりなの?」というのが株式会社の場合の財務諸表のセオリーですが、

NPOは費用ベース、つまり「いくらお金が出ていくと思ってるの?」が基本の考え方です。

まずそれを明らかにしましょう。

費用なら収入よりは簡単にイメージできますよね。

年間通しての活動費(交通費や文房具など細かい備品)や固定費(事務所の家賃など)をイメージしてみましょう。

入ってくるお金はいくら?

次は入ってくるお金をイメージしてみましょう。

「活動自体で収益なんて出せないよー」

と考えている人は寄付金や助成金などを収入としてみましょう。

(本当なら、ちゃんと事業をやってそれで収益を出せるNPOが理想なんですけどね。。)

登記に必要な書類一覧、作成方法

書類一覧

めでたく認証が通ったら次は登記の手続きです。必要な書類はこの通り。

  • 特定非営利活動法人設立登記申請書
  • 定款
  • 行政からの認証書
  • 代表者(この場合理事の中の代表)の就任承諾書
  • 財産目録

見ての通り、定款や就任承諾書などは「認証に出した時の書類」を使いまわすことができます。

財産目録とは「設立時の資産」を記載するものですが、「資産となるものなんてないよ」という場合は「0円」でも問題ありません。

NPO法人設立のための書類作成をもう少し楽にするには?

ここまでNPO法人の設立に必要な書類の書き方をお伝えしてみましたが、どうでしたか?

「自分でもできそう」と思ったか、

「自分じゃムリ。。」と思ったか、分かれるところですよね。

ここでは「自分じゃムリ。。」と思った方に向けてご案内です。

行政書士さんにお願いしよう

行政書士さんは、行政などの官公署への提出書類作成のエキスパートです。

もちろんNPO法人の認証書類提出作成もお手の物です。

NPO法人設立のサポートを中心でやっている行政書士さんもいますので、相談してみましょう。

講座に参加しよう

NPO法人の設立書類作成をワークショップ型で学べ、その場で実践できる講座があります。

例えばこちら→「Startup Lab

現在不定期開催のようですので、要望を伝えれば個別で対応してもらえるかもしれません。

ぜひ利用してみてください。

まとめ

今回はNPO法人をつくるにあたっての大まかな流れや必要な書類、書くにあたってのエッセンス、最後にNPO法人設立の書類をできるだけ楽にするためのサービスを紹介させていただきました。

どんな理由であれ、NPO法人をつくろうというのは「行政や企業、一般市民を巻き込んで社会問題の解決に取り組んでいく」のを宣言する、とても意義の高い活動だと思います。

今回の記事がお役に立てたら嬉しいです。応援しています!