ちゃんと演奏会のコンセプト考えて選曲してますか?

しばし書けなかった吹奏楽テーマの記事。

今回は「演奏会のコンセプト」についてです。

おそらく練りこんで組み立ててるバンドはほとんどないだろうということで、このテーマに取っ組みたいと思います。

コンセプトって何ですか?

目次組み立ててる時点でゲシュタルト崩壊を起こしかけましたが、そもそもコンセプトって何でしょう。

よく聞くのは「概念」とかでしょうか。

わかりづらい。

なので、吹奏楽の演奏会におけるコンセプト、を自分なりに考えてると。

「方向性」「この演奏会で大事にしてること」ではなかろうか。と思います。

なんでコンセプト決めた方がいいの?

言葉の意味はわかったと。

じゃあなんで吹奏楽の演奏会でそれ決めた方がいいのか?という話です。

アマチュアの吹奏楽団に限って言えば、

「結果的に集客につながるから、の一言です。

どーいうことかと言うと。

 

アマチュアの吹奏楽団は基本的に「やりたい曲でプログラム組んだだけ」の演奏会がほとんどです。

友達や同僚といった身内が来て喜んでくれりゃいいや、なバンドならそれでOKです。特に考える必要もないでしょう。

 

ただ「身内だけじゃなくてたくさんの人に来て欲しい!」とか「(入場料せっかく取ってるから)あわよくばバンドの収益増につなげたい…!」と考えてる方には、ぜひやってみて欲しいです。

演奏会のコンセプトを決める3つのメリット

①統一感がでる

まずコレです。

吹奏楽に慣れ親しんでる人は、プログラムみた瞬間に「あ、やりたい曲だけ選んでやってるんだな」と直感的に判断します。

その人が聴きたい曲が入ってるなら来てくれるかもしれませんが、可能性はけっこう低いと判断して良いでしょう。

 

何よりコンセプトを決めて、コンセプトも含めて告知した場合、「バンドがこの演奏会で大事にしてること」や「来て欲しい熱意」も見えるので、見栄えというか説得力が出ます。ちょっと感覚的ですけどね。

②刺さる人には刺さる

次はこれです。

基本アマチュアの吹奏楽団の演奏会は、「誰でもウェルカム」です。それは私も同意です。

 

ただもう少しお客さんのターゲットを絞ってみましょう。

(この章は少々マニアックになるので、吹奏楽に馴染みがない方はスルーしてください。)

例えば

・吹奏楽の大家アルフレッド・リードの曲だけ

・しかも日本での演奏頻度が少ない楽曲中心

をコンセプトにしたとします。

 

こうコンセプトづけた場合、ターゲットはこんな人たちになるんじゃないでしょうか。

A アルフレッド・リードの曲が大好きな人

B 古典の作品に触れて生徒に勉強させたい吹奏楽部の顧問の先生

C コンクールは邦人作品ばっかりでやや食傷気味な吹奏楽マニアな人

身内だけに声かけるのに加えて、SNSや媒体にコンセプト含めてガンガン露出して、この人たちがもし来てくれれば単純に集客数増えますよね?

少なくともコンセプトなしの演奏会に比べれば、集客数増加の可能性は高まります。

(ちなみに私はAに当てはまるので、たぶん行きます。笑)

 

一緒に演奏するメンバーにとっても、コンセプトがあることで「〇〇な曲をやる演奏会だ」と認識してもらえる→演奏会のお知らせをする時に他の人に伝えやすくなる、という副次効果もあります。

③選曲しやすい

演奏する側、というか曲を決める立場にある人にとってのメリットはこれです。

コンセプトなしだと途方に暮れます。ただでさえいろんな曲があるのに。

ただコンセプトが固まってると、コンセプトに合致した曲だけを選抜して判断すればいいので、コンセプトなしより楽に選曲できます。

しかし難易度とかは考慮しないと「考えて選べよ」とメンバーから怒られます。かつての私がそうだったように。

コンセプトには「外向き」と「内向き」の2つがある

メリットはわかったけど、そんなキレイにコンセプト作れないよ、というのはあります。確かに。

コンセプトだてはけっこう難しいです。

演奏会のコンセプトには「外向き」と「内向き」の2つがあります。

ここでは、

外向き→お客さんをターゲットにしたコンセプト

内向き→一緒に演奏するメンバーをターゲットにしたコンセプト

としましょう。

 

そしてコンセプトだての難しさは、

外向き > 内向き です。もうちょっと補足しますね。

外向き、というのはいわゆる前の章で挙げたアルフレッド・リードづくしですね。

ターゲット(お客さんになるかもしれない人)に向けたコンセプトなので、ターゲットの人が来る可能性を高めるものです。

 

ただアマチュアの楽団でそれを難しくするのはやはり「難易度の調整」。

アマチュアの場合、ある程度メンバーの力量とかも判断して選曲をしないと、そもそも演奏会じたいが崩壊します。(「コンクールは全国狙ってるぜ!」なイケイケなバンドなら話は別です。)

こういった難易度を気にしないといけないバンドの場合は、「内向き」のコンセプトだてをしてみてはどうでしょう。

 

例えば「こんどウチの楽団、創団○周年を迎えるんだよね」という場合。

この場合、「創団○周年を迎えるにあたって、過去演奏した曲を再演」がコンセプト候補になるんじゃないでしょうか。

まず選ぶ方はとってもラクチンです。

 

またメンバーにとっても、

若いメンバーは「こんな難しい曲を昔はやってたんだ」と思いますし、

歴史が長いメンバーは「あの頃よりはいい演奏ができるはず(だからがんばろう)」と思うかもしれません。

あくまで例ですが、楽団の歴史を振り返る機会だったり、練習のモチベーションを上げる機会になります。

↑はあくまで例ですが、「今のバンドの〇〇な面をよくするために」や「こんな状態を目指して取り組みました」というのも立派なコンセプトになります。

なにより目的を持って練習できるので、ふだんよりモチベーション上がると思います。

コンセプトが際立ってるコンサート事例あれこれ

探すのが思いのほか難しかったので、、手前味噌ですが過去私が経験した事例を。

一年くらい前の所属していた楽団の演奏会のコンセプトは「吹奏楽オリジナルの交響曲づくし」でした。

具体的には、

・交響曲はオーケストラだけではなく、吹奏楽にも存在する。

・作曲家が時間と情熱をかけて取り組んでいるため名曲が多い。(長いし難しいけど。)

・それだけ選曲して(無謀かもしれないけど)お届けします!(だから期待して来てね。)

というのが、この時のコンセプトの全貌です。

お客さんの反応はよかったですし、有意義な体験ができたなーと私も思いました。

(吹いてる最中は死ぬかと思いましたが。)

 

あと気になった事例はこれですね。

171201_wip

WIP(Wind Intuitional Project)

楽団ではなく、尖ったアマチュア奏者による企画イベントですね。

引用しますと、

斬新かつ洗練された演奏会プログラムと、本番の演奏クオリティの高さの2つのみで、他の決まりごとは全てこの2つを達成するのに必要かどうかで判断されます。よって、地域交流、コンクール、伝統の継承・・・等々は全くコンセプトに無く、ちょっと普通の吹奏楽団とは違うかもしれません。勿論それらは大事なことですが、私たちはあえてその隙間を行くグループです

とのこと。

第1回演奏会では、「全曲演奏される機会が少ない作品」に着目してアルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス」全曲とヨハン・デメイの交響曲第1番「指輪物語」。

第2回では「交響的興奮」を裏テーマにロバート・ジェイガーの交響曲第1番、ヤン・ヴァンデルローストの交響詩「モンタニャールの詩」、デヴィッド・マスランカの交響曲第7番。

演奏頻度、に着目してそこからプログラムを組み立ててるのがよくわかるプログラムです。

まとめ

ここまで「演奏会はコンセプトを立ててプログラムを決めてみよう」とお話してきました。

 

普通に決めるより面倒くさいことがたくさんあるのは確かです。

ですが、それ以上に集客につながる可能性があったり、

プログラムを通して「何をバンドとして大事にしているか」が明らかにできます。

 

そうすると日々の練習にも、熱意アップやモチベーション向上につながると思います。

選曲に携わっている方はぜひ取り組んでみてください!